尿酸降下薬は、痛風発作が起きないように十分注意して少量から開始しますが、それでも痛風発作をを起こしてしまうことがあります。
また薬を飲んで、尿酸値を正常値まで落としたのに痛風発作が起きたり、薬を飲み始めて数日すると痛風発作が起きることがよくあります。
この場合、薬があってないんじゃないだろうかと心配になることがあると思うので、「どうして痛風発作を起こしてしまうのか?」について説明します。
薬を飲んだ後の痛風発作の起こる理由
薬を飲み始めたら痛風発作が起きる理由
薬を飲み始めても、しばらくの間は関節内部には尿酸の結晶が溶けずに残っているため、いつ痛風発作を起こしてもおかしくない状態になっています。
この状態で痛風を引き起こす原因であるトリガーを引くことで痛風の激痛が起こることになります。
痛風発作を引き起こすトリガーはいくつかありますが、多いのは急激な運動、暴飲暴食、そして薬の服用です。
薬の服用がなぜ、痛風発作を引き起こすのか?
痛風の基本的な治療として、尿酸の結晶を血液中に溶かし込むために、尿酸降下薬を使って尿酸値を下げて飽和状態を解消させます。
ところが、血液中の尿酸値を短期間に急激に変動させることは、非常に不安定な状態になってしまい、尿酸塩の結晶が関節内部から剥がれやすくなります。
そして尿酸塩が剥がれ落ちてしまうと痛風発作がおきます。
特に尿酸降下薬を飲むときの症状が尿酸値が9.0mg/dL以上などのときは、基準値までの尿酸値の下げ幅も大きい事から、痛風発作を誘発させる可能性が高くなります。
通常、2か月程度かけ、ゆっくりゆっくり刺激しないように尿酸値を下げていくのですが、薬が効きすぎたりして尿酸値がいっきに下がり、痛風発作が起こしてしまうということは良くあります。
そのため薬の服用直後から2か月間は、非常に痛風発作を起こしやすい時期だと考えて、激しい運動などはできるだけ避けるなど、痛風発作のトリガーをひかないように気をつける必要があります。
薬を飲んだことで痛風発作を起こした場合に、尿酸降下薬の服用を中断してしまう方が多いのですが、実はあまり良い対応ではありません。
飲み続けた方が良い理由
尿酸降下薬の目的は尿酸値を下げるためであり、痛風の発作を起こさないための薬ではないので、痛風発作が起きてしまったからといって、服用を中断してしまうと、せっかく下げた尿酸値がまた上がってしまいます。
さらに怖いのは、薬の服用をやめたことで、再び尿酸値が上昇し、この尿酸値の変動で痛風発作が再び起きることです。
薬の服用後に痛風発作を起こしてしまった場合には、「薬が想定より効きすぎ、尿酸値の下げ方が多少乱暴だった。」と考え、せっかく下げた尿酸値をそのままキープするためにも、薬の服用は続けるようにすることが大切です。
痛みが止むまで尿酸降下薬使わないのは最初だけ!
痛風に詳しい方の勘違いで「尿酸降下薬は痛風の痛みが出ている時に使ってはいけない」と考えて、尿酸降下薬服用開始後に痛風発作おこすと服用を中止する方がいます。
でもこれはよくある間違いで、激痛があっても一度飲み始めた尿酸降下薬は飲み続けなければいけません。
「痛風発作時に尿酸降下薬を開始しないことと混同して、尿酸降下薬の服用を中止してしまうことがあるため、特に患者に対して注意と説明が必要と考える。」
両国東口クリニックのHPより引用
初期治療で痛風の激痛が出ている時に鎮痛処置のみ行い、痛みが消えてから尿酸降下薬を投与するのは、すでに出ている痛みを長引かせたり、悪化させないためです。
服用後に痛風発作が起きた場合には、既に降下薬が体内に入ってしまっているのですから、この場合の対応は下げた尿酸値を保持するため薬の服用を続けたまま、痛み止めの処置を行うことが大切になります。
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