信号機のない横断歩道の交通ルールについて
『信号機のない横断歩道では、歩行者に道を譲らなければならない。』という交通ルールを『横断歩道を渡っているいる人がいたら、車は止まらなければいけない』と勘違いしている人が意外と多いようです。
中には、渡るかどうかわからないから、止まらなかったという人がいたり、渡ろうとしている歩行者に対して、クラクションを鳴らして、渡るのを阻害する車もあるほどでした。
2016年の秋に発表されたJAFの調査では、信号機のない横断歩道で渡ろうとしている歩行者がいても、一時停止し、進路を譲った車両は全体の10%未満であり、都道府県によって結果はバラバラだったということです。
信号機のない横断歩道の実態について
子供は交通ルールを正しく知ってていても、危険性には気づけない
信号機のない横断歩道上の交通事故では、学校で正しい知識を得た小学生が、交通ルールを勘違いしている車にはねられる事故が目立ちます。
子供は、左右を確認してから、横断するという事を忠実に守っており、左右を確認後、車が当然止まるものだと思い渡り始めるケースもあります。
これは信号機が青なら、左右から来る車が交差点で止まるのが当たり前だと思っている感覚で、車両を認識しつつも止まると思って渡りだすようです。
ただし、子供たちには制動距離などといった感覚がないので、ドライバーには突然前の前で飛び出したという心象になるようです。
しかし、横断歩道の前で”きょろきょろ”しているのは、子供の横断歩道を渡ろうとしている合図であり、当然車は、横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいる場合には、その進路を譲らなければいけません。
『突然、飛び出した!』のではなく、横断歩道の近くに歩行者がいるのに、『なぜ止まろうとしなかったのか?』ということなのです。
進路を歩行者に譲っているという概念のないドライバーが意外と多い
横断歩道で待っている歩行者に進路を譲り、停止した車両を見て、横断歩道を渡りだした歩行者がいました。
ところが、その停止した車両の意図に気づかず、こんな止め方して迷惑だと考えながら、停止した車を追い越そうとした車がいました。
当然、追い抜いた直後に停止していた車の陰から、横断歩道を横断中の歩行者が現れる訳で、追い越しをかけた車は、歩行者をあやうくはねかける事故がありました。
信号機があれば、停車している理由がわからなくても従う後続車ですが、信号機のない横断歩道では、前方に車両あったり、雪などで道路上の横断歩道が見えない場合には、左側に書かれている横断歩道の標識を見落とし、事故になる可能性があるようです。
道路交通法と罰則について
道路交通法について
道路交通法の第38条に信号機のない横断歩道についての記述があります。
(横断歩道等における歩行者等の優先)
第38条
車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない。
この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
罰則について
道路交通法の第8章にある罰則規定に書かれています。
第119条
次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
(中略)
2.第30条(追越しを禁止する場所)、第33条(踏切の通過)第1項若しくは第2項、第38条(横断歩道等における歩行者等の優先)、第42条(徐行すべき場所)又は第43条(指定場所における一時停止)の規定の違反となるような行為をした者
まとめ
信号機のない交差点での事故が多発するのを防ぐには、横断中の歩行者に道を譲るのではなく、横断しようと横断歩道のわきに立つ人に道を譲る姿勢が大切です。
自動車同士でも進路変更などの際に、ウインカーをあげて意思表示をしていると道を譲ってくれる方が多いのと一緒で、横断歩道のわきで、きょろきょろしているのは横断歩道を渡りたいたいという意思表示なので、それに気づいて道を譲ってあげることができれば事故が減るものと思います。
まずは、自分が加害者とならないように信号機のない横断歩行の周辺では、歩行者に対して注意していくことが大切かと思います。
信号機のない横断歩道は、基本的に『止まれ』です。
”誰もいないことが明らかな場合のみ、車は進行して良い”という交通ルールです。
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