【不動産裁判判例】仲介業者から誤った説明を受け、居住用財産の3,000万円の特別控除を受けられなかった件についての損害賠償請求事件

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事件の内容について

仲介業者が『居住用財産に関する譲渡所得税』を誤って説明したため、その税の差額を損害賠償として請求した事件です。

不動産売買は、個人にとってとても大きな取引であり、慎重に専門家である不動産会社のアドバイスに従って、売買したのに予期せぬ大きな損失を被ることがあります。

この事件では、不動産会社の説明に誤りがあり、予期せぬ損害を被った場合の損害賠償には税金なども含まれるため、類似事件に巻き込まれた方の参考になればと思われます。

訴訟事件の内容について

Aさんは、平成6年4月に転勤をきっかけに、それまで住んでいた家を賃貸し、転勤先の近くに住宅を購入して転居しました。


平成8年4月にAさんは、賃貸していた方が退去されたので、これを機に、この物件を売却しようと考え、仲介業者に相談しました。

仲介業者からは平成9年12月末日までに譲渡すれば、居住しなくなった平成6年4月から数えて3年目の12月までに譲渡したことになるため、居住用財産の3,000万円特別控除及び軽減税率の特例を受ける事ができる旨の説明をしました。

Aさんは仲介業者のアドバイスに従い、物件の売却の依頼をしましたが買主は現れず、半年後の平成8年10月にAさんが仲介業者に再び相談したところ、『更地にした方が売却しやすいかもしれない』と言われたため、すぐに建物を壊し、更地にしました。

しかし買主はその後も現れずに時間がながれて、平成9年11月に『仲介業者が平成9年度中に売却しなければ特例の適用を受ける事ができないため、価格を大幅に下げて譲渡すべき』との説明を受けました。

仲介業者のアドバイスに従い、価格を大幅に下げたところ、買い手が見つかり、平成9年12月中に物件を売却する事ができました。


Aさんは確定申告で税務署に行ったところ、税務署の担当者から「建物を取り壊してから日から1年以内にその敷地の売買契約が締結されていないため、3,000万円の特別控除及び軽減税率の適用を受ける事ができない」と指摘されました。

Aさんは、特例を適用できなかったことにより、税額が増えてしまった金額について、損害賠償として仲介業者に請求した訴訟になりました。

裁判のそれぞれの言い分について

Aさんの言い分

仲介業者のアドバイスに従い、家屋を取り壊したため、1年以内に売買契約を締結しなければ特例を受けられないということになった。

更に既に特例の適用を受ける事ができなくなっていたにも関わらず、特例を受けるために、価格を無理に下げて売却するようにアドバイスされ、従って価格を下げて売却したのに意味のないことをさせられた点。

仲介業者の言い分

家屋を取り壊しても本物件に居住しなくなってから3年目の12月までに売却すれば有利であると思い、アドバイスしたが、税金のことについては重要事項説明書にも記載している訳ではない。税金の問題はあくまでAさんの問題であり、Aさんが注意して行うべきことである。

裁判での結論

仲介業者は、Aさんに対して損害賠償を支払え。

判決の背景

裁判所が判決するにあたって、仲介業者は税金の専門家ではないものの、売買の判断の重要なファクターになる税制上の特例をもとにアドバイスしている以上、依頼者が不測の損失を被らないように注意する必要があるということです。

この事件について

Aさんは最終的には税金の増額部分を損害賠償請求しましたが、この事件については受けられない税制上の特例を受けられるかのように説明され、譲渡価格を下げた点についても損害賠償請求もできるような気がします。

余談ですが、裁判の長期化を避け、あくまで仲介業者の虚偽説明部分にだけ損害賠償をしぼり、価格を下げた判断を自己責任としたAさんは、カッコ良いと思いました。

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